「始まりと終わり」
物造りに携わると必ず通る道「始まりと終わり」
出会いがきっかけとなり、建築やリノベーションのコンセプトデザインが始まる。
ご依頼を受けた際はこの「終わり」を感じる事はなく、脳ミソが焦げ臭くなるほど想像をめぐし突き進む。
流行に流されるデザインが好きではない私。
依頼主の人柄や家族構成を鑑みながら、10年先や20年先の想像を具現化したくウズウズしてしまいます。
移住し生活の拠点を移す方と、セカンドハウスとしての利用の方によって考え方は異なってくる。
しかしながら共通点もあり、そこでの時間をどのように過ごすかによって、どのような影響があるのか等は共通した考え方を持っております。
自宅としてであれば家族構成にもより、お子様がいればゆっくりと染み入るよいうデザインを考える。
今後、見て触れて行く物によっては生活スタイルに変化がもたらされ、家具でも小物でも何でもいい、「物を大切にする親の姿」「自分の趣味や時間を大切にする親の姿」を垣間見ることで、自然と自分の価値観が生まれ育ってゆくだろう。
子供たちは成長過程で友人や人との比較も当然することになるだろうが、自分の家庭や親が美しくカッコよく思えるように設えてあげたい。
私のたった一つの行為や行動が、将来の子供達に大きく影響を及ぼすと考えると気が抜けない。
大人にだってそうだ、造り上げる建物や空間によって意識が変わり行動が変わることもある。
造り上げた空間に友人や知人が訪れた際、オーナーのセンスの良さを感じオーナーへの称賛が有ることを願ってデザインしている。
私の役割は黒子そのものだ。
完成後の引き渡しを迎えると、私の仕事としての「終わり」を感じるのだが、オーナーが育ててゆく方向を見守りたいと思える「始まり」も続いてゆく。
だからこの沼のような世界にのめり込んでいるように感じる今日この頃です。
実に面白い。