鎌倉さんぽ 「まんだら堂やぐら群」
歴史を感じる鎌倉の古道「鎌倉七口」。
源頼朝が幕府を鎌倉に開いた大きな理由は、南は海に、北東西は山に囲まれ、敵の侵入を防ぎやすい地形だったからと言われています。
そこで物資運搬のために山を切り開いて造った道が「切通し(きりどおし)」。
鎌倉時代に整備された「鎌倉七切通し」の一つ、「名越切通し」は防御機構や様々な史跡が残り、中世の雰囲気を色濃く残す古道。
鎌倉市の南東部から逗子市に抜けることができます。
切通しの周辺には、鎌倉の防衛にも関係すると考えられる平場や切岸、やぐらや火葬跡なども多く分布しており、鎌倉の周縁の歴史的景観を良く残しています。
今回、切通しの途中にある「まんだら堂やぐら群」が期間限定で公開されているので訪れてみました。
大町の住宅街から少し細い坂道を「てくてく」と上がっていくと、やがて細いハイキングコースへ入ります。
山道なので、ハイキングに適した運動靴がおすすめ。
少しずつ高台へと登る途中、右下にはJR横須賀線の線路や鎌倉の町並みが望めます。
山の中には「ニョキっ」と空に伸びる白い煙突が。
どこかで見たことあるなぁと思ったら、名越クリーンセンターの煙突です。
その辺りはいつも車で通りますが、山から見下ろすいつもと違う眺めに、新鮮な気持ちになりました。
晴れ渡った初冬の朝、空気が「すーーーん」と気持ちよく、まだ人通りのない山道を歩く清々しさ。
山道を進むこと20分ほどで、目的の「まんだら堂やぐら群」に到着。
なんて神秘的な場所なんでしょう!
多数の四角い横穴が開いたやぐらの中に、石塔が積まれています。
さてもっと近づいてじっくり見てみよう。
「おはようございます!一番乗りですね!」と受付にいた方が声をかけてくださり、日が高いうちに上の展望台を先に回ったほうが見晴らしがいいとの勧めで、少し上がった展望台へと行ってみる。
上から見下ろすやぐら群もまた壮大で厳かな雰囲気。
反対側に目を向けるとこれまた絶景が広がるのです。
眼下には逗子マリーナや小坪の海が一望できます。
ところで、このまんだらやぐら群、どんな史跡なのでしょう。
ここはそう、納骨と供養が行われた場所なのです。
なんとなく想像はしていましたが、はっきりと事実を知ると、少しだけ背筋が「ぞくっ」と。
13世紀後半頃から16世紀ごろまで使われ、鎌倉及び鎌倉と縁の深い地域や寺院などにのみ分布する特殊な遺構だとか。
造営したのは当初は僧侶や武士だと考えらえています。
ぐるっと広場を囲む階段状のやぐらと、その中に入っている石塔。
その数なんと150穴以上も。
そんなはるか昔の遺構が、かなりいい状態で残っているのも不思議ですね。
鎌倉に住んで長いこと経ちますが、まだまだ新しい発見のあることを知らされました。
歴史を感じるスピリチュアルな「まんだら堂やぐら群」、初夏と秋の限定公開ですが、ハイキングがてらぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。