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鎌倉トリップ 「旧華頂宮邸(きゅうかちょうのみやてい)」

鎌倉には未だにいくつかの洋館が残されている。

その理由として、明治維新の神仏分離令により、あちこちのお寺が次々と廃寺となってゆくなか、明治の財を成した富裕層たちが別荘を営む絶好の地となったことが挙げられます。

廃寺跡の広大な土地を裏山の頂上まで付けて富裕層の別荘地として分譲されたから。

そしてその頃別荘として建てられた洋館が、今も大切に保存されているんです。

その代表格とも言えるのが、「鎌倉三大洋館」と呼ばれる古我邸(旧荘清次郎別荘)、鎌倉文学館(旧加賀前田家別邸)、旧華頂宮邸。

これらの洋館はいずれも緑深い谷戸にあり、敷地内の崖にはやぐらを伴い、南北朝以前にはお寺が建っていた場所であることを示している。

今回ご紹介するお屋敷の名は「旧華頂宮(きゅうかちょうのみや)邸」。

地名は「浄明寺」、見事な竹林で有名な「報国寺」の奥地にひっそりと佇む、鎌倉では唯一の鉄筋コンクリート造の洋館。

こちらは昭和4年の春に華頂博信侯爵邸として建てられたもの。

けれど、華頂宮ご夫妻が使われていたのはたった数年で、次々と家主は移りかわっていったんだそう。

そして平成8年に鎌倉市が取得し、現在に至る。

鎌倉市の景観重要建築物、同年10月に国の登録有形文化財(建造物)に指定され、「日本の歴史公園100選」にも選ばれています。

外観は、ハーフティンバースタイルと呼ばれる西洋の民家調で、極めて整然かつ古典的な意匠の洋館建築なんだとか。

ハーフティンバースタイルとは?

柱、はり、筋違い、間柱、窓台などの軸組は隠さず、あえて装飾部としての役割もはたしている。

また、軸組の間は、漆喰やレンガ、石などで仕上げられいる様式のこと。

主に、15世紀から17世紀ごろに建てられていたんだそう。

外壁のむき出しの木造軸組の幾重にも連なりあうリズムがとっても素敵です。

玄関ホールの小ヴォールドとよばれる珍しい天井や、あちこちの洋室に配されたマントルピースが魅力的な空間を演出して、赤い絨毯の上に「スック」と立つ刑事たち、推理ドラマのワンシーンが目に浮かぶ。

その佇まいに触れると、まるで自分までお嬢様にでもなれたような気分に浸れます。

これらの洋館はその素晴らしい風貌から、テレビドラマのロケ地として引っ張りだこで、たくさん利用されています。

かの有名なドラマ、「最後から二番目の恋」のスペシャルでも、小説家の自宅という設定で使用されたんですって。

ワクワクしちゃいますね。

確かに、容易に想像できてしまうんです。

音のない風にカーテンが揺れる。

その向こうにはフランス式の庭園がチラリ。

マントルピースが美しい食堂には、大きなダイニングテーブル、ソーシャルディスタンスを保つかのようなゆったりとした距離で、家族の食事が行われている。

白い大きなリボンをお召しになったお嬢様のティーカップに、燕尾服を着た執事が「トトトトト」静かに紅茶を注ぐ。

立派な髭を蓄えた威厳のあるご主人様のお隣では、上品なお洋服の奥様が、ときおり「おほほほほ」高い声で笑った。

それにつられて年端もいかないおぼっちゃまも「きゃっきゃっ」と声を上げる。

そんな貴族の日常が目の前に現れること、間違いない。

本来ならば春と秋の年に2回、そのドラマを実際に想像できるチャンス、内部見学ができるのです。

現在はなかなか難しいようですが、機会があれば是非内覧してみたいものですね。

フリルがいっぱいの「ふわっふわ」のドレスを纏い優雅にダンスフロアで踊る、なんて夢のトリップ感を、ほんのひとときでも味わってみたいなと思う私なのでした。

永遠の憧れ、ですよね。

報国寺の奥地

更にゆきます

ひっそりと、そして凛と

そこに佇んでいます

案内板

レトロなライトが素敵な門

既に美しい…

洋館が現れました

この向こうは庭園

レトロで雰囲気がある
レンガが素敵なのです

やぐら発見

ちょっとドキッとします

フランス式の庭園

幾何学的な形を持つ

石造りのバルコニー

この外観、迫力があります

そして気品も溢れ

見事な雰囲気を今も。

チョロチョロと水の音が聞こえてきそう

皆よ、聞きたまへ

門扉

いざ。
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