鎌倉トリップ「覚園寺」
鎌倉市二階堂の静かな住宅地の果てにある古寺「覚園寺」。
1218年、北条義時公の薬師如来信仰により建てられた大倉薬師堂が、「覚園寺」のはじまり。
それを1296年に北条貞時が元寇襲来が発生しないことを祈り、寺に改めた。
山門を見上げる。
「ビュッ」と引き締まった気持ちにさせてくれる石段を上り、山門をくぐる。
境内には蓮が植えられた甕が並び、左手には石の層塔が立っている。
落ち着いた境内には、ゆるやかで穏やかな空気が流れている。
正面には「愛染堂」。
1905年に廃寺となった「大楽寺」の本堂を移築されたもの。
赤い腕が6本ある仏様が、「愛染明王」。
「愛染明王」は、「幸せになるためにおそれや不安を打ち消し、ひたすら前にすすむ力」 と「情熱」をつかさどる仏さまなんだそう。
だから、全身が赤く塗られているんですね。
残念ながら、拝観はならず、でした。
小さな鐘楼を見て、拝観料をお支払い、有料ゾーンに突入します。
お寺の方たちはとてもご親切に接して下さって、「初めてですか?」と、ご丁寧に説明してくださいました。
いよいよ別天地に一歩踏み出すと、「しぃぃぃぃぃぃぃん」
と音無き音が聞こえてきそうな雰囲気が漂います。
背の高い木々たちが「ザワザワザワ」とささやきあい、遠くに見える茅葺の本堂へと誘ってくれるのです。
右手には、「地蔵堂」、別名「黒地蔵」で知られる「地蔵菩薩立像」。
この他にも寄進された地蔵が安置されている。
仏様のなかで大地のちからを宿す仏さまが地蔵菩薩。
田畑に恵みを与えると信仰され愛された仏様で、子供を育て護る仏様だという。
だから幼い子供を護る、魔除けという理由から、朱色の帽子と前掛けを付けるようになったんですって。
たしかに、お地蔵様って、大体あのお帽子を被ってらっしゃいますもんね。
さぁいよいよ本堂「薬師堂」へ。
ちょっと「ドキドキ」胸が高鳴ります。
ご本尊は「薬師如来」。
元気であり続ける力は、昼夜を問わず一日中必要であることから、「薬師如来」の両側、向かって右に日光菩薩、左に月光菩薩が祀られているんだそう。
更にその外には、中央の薬師 三尊を守護し、参拝者を勇気づける十二神将像がぐるりと取り囲むように立っておりました。
十二神将像とは干支の象徴。
向かって右に干支の 子、丑、寅、于、辰、巳 が、左に手前より 午、未、申、酉、戌、亥 が配されているとのこと。
ん?どこに干支はいらっしゃるのかしら?
よくよく見てみると、なんと頭の上に「チョコン」と乗っているんです。
その姿はとてもかわいらしくって、思わず笑ってしまいました。
自分の干支の仏様の前で丁重に手を合わせ、勇気を頂く。
さらに、右奥には鞘阿弥陀とも呼ばれる、阿弥陀如来坐像が。
こちらは川端康成が愛した仏像といわれ、ふくよかでやさしい顔立ちが特徴的です。
左手の奥には、三体の伽藍神が祀られ、建物を守っています。
ほかには、「内海家」という、茅葺屋根が素敵なお宅。
鎌倉市手広の名主、「内海家」の住宅が保存されたものである。
奥の壁に十三の仏様が彫られた、「やぐら」。
「やぐら」とは、鎌倉は山が多く、平地が少ないことから鎌倉の武士や有力者のお墓は、山の斜面を掘って埋葬されたものをいう。
こんなひっそりとした山奥に、これだけ見所満載のお寺があったなんて、これまた驚きです。
帰りしな、受付でお礼を告げると、
「きっとご利益がありますよ」
そういわれて、ふっと心がほころびました。
「ありがとうございます。そうだと嬉しいです。」
すてきです。
言葉って、ささいなことでも、魔法をかけられるのです。
私も言葉選びを大事に。
大切にしたい人に、ステキな言葉がけをしようと誓ったのでした。