鎌倉トリップ「鎌倉五大堂 明王院」
鎌倉市十二所(じゅうにそ)にひっそりと佇む「鎌倉五大堂 明王院」。
鎌倉の喧騒から離れ、細くなった滑川がそよそよとそよぐこの場所に、こんな素敵な寺院があったのか、と驚く。
一歩足を踏み入れると、フッとこみ上げてくるような、昔の記憶。
そこには、古き良き日本の風景がありました。
参道を歩く心持ちはなぜか少し緊張気味。
格式の高さを感じるからでしょうか。
明王院は1235年(嘉禎元年)、鎌倉幕府四代将軍 藤原頼経により建立された。
鎌倉幕府の将軍の発願によって建立された、鎌倉市内に現存する唯一の寺院なんだそう。
十二所という地が、鎌倉幕府からみて鬼門の方角にあったため、鬼門除けとして建立され、国指定重要文化財の不動明王を中心に「五大明王」を祀っています。
「五大明王」とは、中心の不動明王(ふどうみょうおう)、その周りを囲む大威徳明王(だいいとくみょうおう)、 軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)、降三世明王(ごうざんぜみょうおう)、金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)からなる 五体の明王様の総称。
「明王院」は、鎌倉幕府の祈願所、そして、将軍家の祈願所として御祈願を修してきた。
鎌倉幕府最大の危機、日本が初めて外国の脅威にさらされた元寇のときにも元軍退散の法要があり、見事に国難を救ってくださった御本尊でもあります。
鎌倉で「五大明王」を祀るのは明王院だけなのだそう。
今でも御不動様の御縁日にあたる毎月28日には護摩法要が執り行われ、現代に生きる我々の願いも叶えてくれるんだとか。
鎌倉時代より、そうやって人々の祈りを優しく受け止め、愛されてきたという「明王院」。
祈願を目的とするため、檀家制度がなく、境内にはお墓もない。
あぁだからか、なんだか洗練された気がするのは。
いつも訪れるお寺とは、また風格が違った。
茅葺き屋根が見事な4棟の建物と、丁寧にお手入れされた美しい庭園。
どこか懐かしく感じられる家屋のその佇まいには、独特の趣が感じられ、そこに自分が存在するだけで、ため息が漏れる。
可愛らしい茅葺き屋根は素朴でとても風情を感じる。
不思議と、日本人であることを誇りたくなった。