江ノ電 「腰越」駅
「トコトコ」愛らしい足音を響かせながら、江ノ電は「江ノ島」駅から「腰越」駅に向かいます。
「プァーーーーン」
軽快な音を立て、「コトンコトコト」街中を走る。
慣れていないと、突然後ろから追ってくる警笛にドキッとするんですけどね。
車やバイク、自転車と道を譲り合って進むのもステキ。
あっという間に到着です。
1903年(明治36年)、「谷戸駅」として開業した「腰越」駅。
15駅ある中で最もホームの小さい駅なので、なんと4両編成の車両が収まりきらない。
うっかり、そのホームからはみ出した1両に乗ってしまうと、ドアが開かないので降りられない!なんてハプニングに見舞われてしまうことも。
お気をつけてくださいね。
「腰越駅」周辺は、「腰越商店街」に「腰越漁港」、「満福寺」、「小動神社」と、見どころ満載のスポットなわりに、いかんせん地味な感じが否めない。
とはいえ、鎌倉らしさあふれる雰囲気が魅力的なんです。
アットホームで愛着の湧く「腰越」駅を出発、民家ギリギリの細い路地裏を走り、「鎌倉高校前」駅に向かいます。
平安時代からある「小動神社」や、源義経が兄頼朝の許しを得るために手紙(腰越状)をしたためたお寺、「満福寺」の横を通り抜けると…
突然、「パァッ」と明るい陽が差し、思わずその眩しさに一瞬目が眩む。
そして、気づいた時には目の前に一気に「どどーーーん」と広がる大海原の景色。
おひさまの光がまばゆい海辺へと踊り出るのです。
その瞬間、藤沢から江ノ電の旅はクライマックスを迎え、車窓めいっぱいに広がる「チラチラ」光り輝く海に釘付けになっていること、間違いない。
江ノ電の醍醐味は、「ここでしょう」と言いたくなるほど、本当にステキなシーン。
思わず見惚れてしまいがちですが、スマートフォンを片手に「パシャパシャ」収める人たちも少なくありません。
アクアブルーが美しい海と並走しながらゆく江ノ電。
果てしない海の先をじっと見つめ、このうえない幸せを感じながら、「トコトコ」、「鎌倉高校前」に滑り込んでゆくのです。