鎌倉トリップ「報国寺」
「鎌倉」の喧騒からは少し離れた、少し静寂なエリア、鎌倉市浄明寺。
竹林といえば京都の嵐山が有名ですが、鎌倉にも立派な竹林が楽しめるスポットこちらにあります。
見事な竹の庭のあるお寺、その名も「報国寺」。
古くから境内の孟宗竹の林が美しく、なんともマイナスイオンを感じる、とっても素敵なところ。
別名「竹庭の寺」「竹寺」とも呼ばれているとか。
観光地を格付けする「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」にて、三ツ星を獲得したことから、外国からのお客様も訪れる人気のお寺に。
訪れてみて、それも納得。
たしかに、日本人でも魅了される美しいお庭や竹林。
外国の方々はよりいっそう心を打たれそうです。
「報国寺」は1334(建武元)年に、天岸慧広(てんがんえこう/仏乗禅師)が開山した臨済宗建長寺派のお寺。
仏乗禅師はこの地に休耕庵を建てて修業をなされ、また余暇を得て、詩作を楽しみとしつつ、静かな御生涯を過ごされたそう。
なるほど…ここなら素敵な詩が読めそう、なんて。
よし、風情と趣きを楽しんでいこう!
いざ、山門をくぐります。
整った石畳のなだらかな参道が続く脇には、これまた丁寧にお手入れされたお庭が寄り添う。
日本ならではの美しいお庭の雰囲気って、とても好きです。
心が安らぐというか、穏やかな気持ちにさせてくれるから。
あぁ私って日本人なのね、と日本に生まれてきた有難さを感じる瞬間であります。
石畳添いには、これまた色鮮やかな紫陽花を愛でながら、参道を抜けて右手の石段を上ると、左手前に鐘楼が、正面奥には本堂が佇んでいます。
茅葺屋根が可愛らしい鐘楼。
そばには樹齢300年とも言われる大イチョウの木。
秋には黄金色に染まったイチョウが素晴らしいそうで、またその頃にも足を運んでみたいと思いながら歩を進めます。
すると、新緑に囲まれた本堂がどどーーんと構えており、その本堂の裏手にはいよいよ期待の竹林。
拝観料をお納めして、竹の庭を目指します。
これまた目の前には枯山水の庭園。
そのむかし、川端康成、林房雄が寺領内に住まわれ、特に川端先生は、この山あいのしじまの音なき音を「山の音」と表現されたそう。
静かで緑麗しい風景は、とても癒されます。
まるで京都にいるかのような錯覚を覚えながら、ゆるやかに流れる時間に身を任せ、文豪たちも愛した報国寺を堪能します。
さて、ついに竹の庭のおでまし。
2,000本以上の竹が、天を目指してまっすぐと伸びている竹林に足を踏み入れると!先ほどとは世界が一変。
一気にひんやりとした空気感と静かな空間を感じる。
空を見上げてみる。
谷間を抜ける涼しい風が吹くたび、頭上で聞こえる「サラサラ」葉擦れの音。
隣り合わせた竹たちのぶつかり合う音。
外の世界とは切り離された、別世界に入り込んでしまったような感覚は、とても不思議。
映画の中のような。
思わず目を閉じて、耳をすませてみる。
そうすると、五感が研ぎ澄まされ、自分が洗われて、自分ではなくなるような。
はたまた新しい自分に生まれ変わったような。
なんだかふんわりしたものに優しく包まれるというか…
言葉にはしがたい、摩訶不思議な感覚なのです。
身も心もリセットしに、ときおり訪れたくなりますね。
そんな竹林を眺めながらお抹茶や落雁など干し菓子を戴ける、「休耕庵」という茶席もあるんです。
残念ながら、本日は外から眺めるのみ。
次回は必ずリベンジしてみたいと思います。
とにかく圧巻の竹林、一度は訪れることをおススメします。
自然のパワーをチャージすれば、また明日から頑張れそうですよね。