鎌倉さんぽ 「鎌倉十井 六角の井」
鎌倉にて、あちらこちらで物件の撮影をしていると、ふと小さな史跡を見つけることがあります。
私はなかなか歴史深いものには目がなくて、見つけると興味を持ってつい眺めてしまう。
遠い昔、この場所で大切にされてきたものがあったのね、と歴史ロマンを感じてならない性分なのです。
この井戸の石碑も気になったもののそのひとつ。
早速調べてみると、鎌倉には有名な井戸が10基あり、それらを「鎌倉十井(かまくらじっせい)」というんだそう。
その昔は、海が近く、水質の良くなかった鎌倉。
800年ほど前の鎌倉時代、良い水は大変貴重なものだったようです。
そんな鎌倉の井戸の中で美味しい水、伝説の残る井戸が10ヶ所、「鎌倉十井」として残されているんです。
なるほど〜、10基もあるだなんて。
これは全部網羅してみたくなるぞ!とコレクター魂に火がつきました。
ということで、まずは手はじめに我がアールスタジオのある材木座、ここに存する「六角の井」を訪れてみることに。
「六角の井」は意外にも素晴らしい場所にありました。
小坪トンネルの脇道を海岸線に沿って歩くと。
実は、このあたりは知る人ぞ知る風光明媚な場所なんですよ。
大切な人にだけ教えたい、そんなところ。
狭い路地から一気に「材木座海岸」を一望、「江ノ島」に「富士山」にと、贅沢なロケーションに感動の嵐。
思わず「わぁ〜」とため息が溢れます。
そんな麗しい光景を横目に、もう少し歩を進めると住宅の隙間にひっそりと佇んでいました。
ちょうど材木座海岸の端っこといったところでしょうか、逗子マリーナがすぐそこに見えます。
小さな石柱を発見。
その隣には大きな井戸がありました。
以前は屋根が設けてあったのですが、すっかりなくなりブルーシートで覆われています。
こちら「六角の井」と呼ばれる井戸は八角形をした井戸で、二角が小坪分・六角が鎌倉分といわれることから六角の井と呼ばれるんだそう。
この井戸には別名があり、「矢の根井戸」という。
その名の由来となる伝説によると、弓の名手であった為朝が自分の力を試すために、配流先の伊豆大島から天照山(光明寺の裏山)めがけて放った矢がこの井戸に落ちた。
え。えぇ!
井戸の底には筒のような矢の根(矢じり)が見え、それからこの井戸を「矢の根井戸」と呼ぶようになったんだとか。
村人が矢の根を拾い上げると水の質が悪くなったので、元に戻したところ、もとのような清水が涌き出るようになったという伝説からこの名がついたらしい。
矢じりは今でも竹筒に入れ、井戸の中段に祀られているという。
どうやら井戸には不思議な伝説がつきもののようです。
いくら弓の名手でも、大島から光明寺の裏山めがけて矢を放つとか、その矢がこの井戸の中に落ちたとか…驚きですよね。
「伝説」と呼ぶに相応しい。
鎌倉十井、有名な井戸には様々な面白い伝説がありそうで「ワクワク」します。