鎌倉トリップ「来迎寺」
鎌倉市「西御門」(にしみかど)の静かで落ち着いた、住宅街の奥地。
「西御門」という地名の由来は、源頼朝が大倉(蔵)に鎌倉幕府を建てたとき、四方に門があり、西側の門を「西御門」というようになったそう。
以降、そのあたりの土地、現在の清泉小学校の校地辺りを「西御門」と呼ぶようになったといわれています。
その一角に、ひっそりと佇む「来迎寺」。
人目を忍んでいるようにも見えるけれど、その佇まいは凛としていて、とてもステキ。
境内には本堂がポツンとあるだけのシンプルなお寺ですが、そこに続く階段脇には四季折々の植物が植えられていて、訪れる人々を歓迎してくれているよう。
鎌倉には、たしかふたつの「来迎寺」があって、こちら「西御門」の「来迎寺」は、鎌倉十三仏の札所になっていたり鎌倉一美しいといわれる仏像に出会えたり、と、こじんまりながらもなかなか見応えのあるお寺なのです。
「来迎寺」は、鎌倉時代の永仁元年(1293年)に起きた鎌倉大地震で、とりわけ被害の大きかった西御門の人々を供養するために、一向によって創建されました。
一向上人は、各地を遊行しながら、念仏踊りなどの教えを広めた僧侶の一人。
一般庶民からは、絶大な支持を得ていたんだとか。
だから、寺院を創建されたのかもしれませんね。
ご本尊は阿弥陀仏如来。
他にも、岩を模した台座の上に坐していることから「岩上地蔵」と呼ばれる「地蔵菩薩像」(廃寺となった報恩時のもの)、「跋陀婆羅尊者像」、「鎌倉で最も美しい仏像」である、「如意輪観音半迦像」が祀られている。
本日は残念ながら、拝観はできませんでしたが、でもいいんです。
とっても気持ちが良かったから。
染めたような青みを帯びた空が、雲のすきまから覗く。
それはとても澄んでいて、心地よい空気感だった。
本堂の前には、白梅が2、3輪とほころび、日はうららかで春の気配がそこはかとなく漂う。
それを見た瞬間、思わず「ほっこり」と顔がほころんだ。
「あぁ、もうすぐ春なんだな」。
まだまだ三寒四温の日々だけど、それでもこんな日は幸せを感じる。
ありがとう、梅さん。
ありがとう、来迎寺。
掌をあわせて、こころ穏やかに。
また、来ます。