「波」
美しい
揺るぎのないコンセプトに心を打たれる作品
以前お取引させて頂いたお客様の家は、高台から一直線に七里ガ浜の海と家々を望む特別なロケーションなんだ。
建築家がデザインした室内はリノベーションとは思えぬ出来栄え。
なぜだろう…比較的新しい住宅なのだが、どことなく古めかしい空気感も伝わってくる。
室内の仕上げだけではなく、作家の造るレースのカーテンや、オーナー自ら厳選した「リアドロ」の照明器具たち。
「ロッシュボボア」のダイニングテーブルにチェア、リビングに鎮座するソファーもまたしかり。
いたるところに芸術の領域を感じさせる品々が自己主張をしているが、それぞれがそっと寄り添いまとまった空間に仕上げられていた。
これもオーナーの広い心の表れだと私は思う。
いくつものリノベーション工事や新築工事のデザインをしてきたが、都度、オーナーのイメージに沿わなければならないことも多々あり、空間造りに苦労は絶えません。
デザイナーへ一切合切をゆだねる決断と広い心が伴わないと、このような作品と呼ばれる領域に達することが難しい。
静かに押し寄せる波、いくつもいくつも押し寄せてゆく
そんなコンセプトのなか、室内は職人によって造られたモルタルの造形美。
浪をイメージした仕上がりにうっとりとしてしまう私。
今も昔も変わらぬ職人への憧れの姿だ。
前オーナーから引き継いだ家は、新しい命を宿したかのように生き生きとしていた。
このような作品に生まれ変わった姿は、私にとって刺激と糧となるだろう。
私に携わる方々を幸せにしたいと改めて精進を決意します。