逗子さんぽ 「文学碑めぐり 泉鏡花碑」
湘南界隈は文学と深いつながりがある地域。
いたるところ文学碑が建てられているのをご存知でしょうか。
あまり馴染みのない名前の方のものもあるかもしれませんが、ゆかりを知るときっと興味が沸くと思います。
この「文学碑めぐり」では、文学碑の紹介とともにゆかりや周辺の情報などもお届け。
お休みの日などの湘南散策・文学散歩を楽しんでいただければと思います。
今回お届けするのは、逗子市小坪にある大崎公園内にある泉鏡花の文学碑です。
泉鏡花は、本名は鏡太郎といい、1873年石川県金沢市で産まれました。
明治後期から昭和初期に活躍した小説家で、初期の傑作に『外科室』があります。
そのほかの代表作としては『高野聖』『照葉狂言』『婦系図』など。
作風は怪奇性や幻想性が特徴的で、その巧みな表現は小説家の中島敦をして“まことに言葉の魔術師。感情装飾の幻術者”と言わしめました。
そんな鏡花が胃腸病の静養のため逗子に滞在したのは、1902年(明治35年)と、1905年(明治38年)から1909年(明治42年)までのこと。その間に執筆した、『春昼』や『春昼後刻』などには逗子のさまざまな土地が紹介されおり、実は逗子とは縁が深い人物なのです。
その鏡花の文学碑は、逗子市小坪にある大崎公園に設置されています。
「秋の雲 尾上のすすき 見ゆるなり」
公園のほぼ中央、東屋のほど近くにあるこの文学碑は、ユニークなことにウサギの形をしています。
なぜウサギの形なのかというと、幼い頃から母親に「自分の干支から数えて7番目の干支の物を身につけると幸運がある」と教えられたことから。
鏡花は生涯ウサギをモチーフにしたものをコレクションしていたそう。
それにちなんで、この文学碑もウサギの形になったとのこと。
なんだかコロンとしていてかわいいですよね。
大崎公園はちょっとしたハイキングや散策にもいい場所。
高台になっている公園から見える海の景色がとっても気持ちいいんですよ。
お隣の披露山公園から邸宅街を抜けていくことができるので、ぜひはしごして、散策がてらこの文学碑を見つけてみてくださいね。