鎌倉トリップ 「明月院」
むかしむかし、私が幼き頃。
父は出張や旅行に行くと必ず、その地のテレホンカードをお土産に買ってきてくれた。
私は子供ながらにそれがとても楽しみで、その地にまつわる様々な風景や写真、絵が描かれていたりして、行ったことがなくともなんだか自分も行ったような気分になっていたことを今でも想い出す。
その枚数たるや、いつの間にか100枚近くとなり、大きくなるまで大切なコレクションとしてカードホルダーに収めていたものでした。
そのうちの一枚、わりと印象深く残っているのが鮮やかな紫陽花を両脇に蓄えた階段の絵、そう、「明月院」のカードだった。
境内に数千本と言われるほど咲き誇る紫陽花、「明月ブルー」の絵。
綺麗なお寺だなぁと思った記憶がある。
お気に入りのカードはそれはそれは大切にしていて、時折眺めて楽しむ。
だからなかなか使えず、未だに取ってあるものも少なくはない。
ただ、そのカード達のほとんどが、学生時代、連絡手段として必要不可欠だったポケベルを打つために公衆電話に吸い取られてしまった。
そんな想い出のカードに描かれた、臨済宗建長寺派に属する北鎌倉のお寺「明月院」。
かつて父が訪れたこの場所に、私もようやく訪れてみることにした。
紫陽花の時期ではないので、もちろん紫陽花は拝めないものの、たまに時期を間違えたのか?咲き残りなのか?
ひっそりと一輪、残された紫陽花がいたりして。
それがまたいじらしいのです。
ちょうど紅葉が美しい時期であったので、色めく葉っぱが美しい。
青い空とのコントラストに魅了されつつ、「明月院」を代表するあの絵面、円窓目指して歩を進めるのです。
この日は学生達もたくさん訪れていて、あちらこちらで並ぶこともあり。
「明月院」の人気具合を物語っている。
「ソワソワ」しながらも静かに順番を待ちます。
いよいよ円窓を拝める順番が回ってきました!
その美しさと言ったら。
うーん、なかなか言葉では言い表せられない。
円窓の向こうには、時期により公開される後庭園が見える。
そして振り返るときちんとお手入れされた枯山水庭園があるのです。
これは見応えがあります。
感動のあまり、一人で「うーーん」と唸りました。
これまでたくさんの鎌倉寺社を巡ってきてた私ですが、フィナーレを飾るにぴったりのお寺さんでした。
鎌倉には小さなものから大きなものまで、本当に魅力いっぱいの神社仏閣がたくさんあります。
全てを訪れるのは難しいけれど、ビビビときた所だけでもみなさんぜひ訪れてみてください。
きっと何かに呼ばれているからだと思うのです。
おそらく日頃は気づかないような些細なことを見つけられたりできますよ。
自分を見つめ直したり、穏やかな発見があるはずです。
ありがとうございました。