江ノ電 「長谷」駅
今回の主人公は「長谷」駅。
黒くモダンな駅舎は、ほかの江ノ電の駅とは一線を画す綺麗さ。
それもそのはず。
2020年にリニューアルされたばかりなのです。
江ノ電のレトロなかわいさが好きな方は少し淋しく感じるかもしれませんが、古都鎌倉に馴染む落ち着いた外観で、それはそれで素敵だなと思います。
そんな長谷駅は鎌倉きっての観光地「高徳院」や「長谷寺」の最寄駅。
そのため1日に乗降する人の多さは江ノ電の駅の中でもトップクラスを誇ります。
にもかかわらず、それらの観光地へアクセスする歩道が狭いのが難点。
歩道は観光客や地元民であふれ、車道に大きくはみ出して歩いている人の姿もよく見かけます。
なので歩く人も車を運転している人も気を付けたいのがゆとりを持つこと。
行きたい場所、見たいもの、食べたいものがあっても「焦らない焦らない」。
この気持ちが大事かと思います。
「長谷駅」が開業したのは1907年のこと。
1904年に開業した極楽寺から、江ノ島電鉄唯一のトンネルを掘削して開通しました。
「長谷駅」があるこの地の由来は、736年に開創した「海光山慈照院長谷寺」にあると言われています。
「長谷観音」としても親しまれているお寺ですね。
四季を通して草花が絶えることなく「鎌倉の西方極楽浄土」と呼ばれ、梅雨の時期に野山一面に咲くあじさいや見晴らし台からの眺めの素晴らしさは、言わずもがな。多くの人を虜にしています。
当時奈良県にも長谷寺という寺があり、その周辺を長谷と呼んでいたことにならって、鎌倉の長谷寺周辺も「長谷」という地名になったそう。
そんな場所にある「長谷駅」ですが、ちょっとほっこりエピソードが。
上下線ホームの突端に運転手さん用の窓拭き用洗剤スプレーのボトルがあり(乗客ならだれでもみることができる場所に置かれている)、そのラベルに時事ネタやウンチク、つぶやきなど、小ネタを仕込んでいたそう。
トイレに貼られたコラムも密かに人気を集めていました。
遊び心ある駅員さんのおもてなしの一つだったのでしょうが、残念ながら現在はその方が異動になってしまい、今では見ることができなくなってしまいました。
でも、そんな粋な駅員さんが江ノ電で働いているんだと思うと、なんだか楽しくなりませんか?
もしかしたら、今度は別の駅でそのおもてなしを見かけることができるかも。
単に乗り降りするだけでなく、ちょっと細かなところに目を向けてみると楽しいかもしれませんね。