鎌倉トリップ「光則寺」
鎌倉市長谷といったら、まず一番に思い浮かぶのは「長谷寺」。
そのすぐそばに佇む、賑やかな「長谷寺」とはまた一風異なる、豊かな自然に溢れた、とても静かなお寺「光則寺」。
凛とした空気感が漂い、とても心が落ち着きます。
文永11年(1274) 頃、5代執権北条時頼の家臣・宿屋光則の屋敷を寺に改めたのが始まりの日蓮宗のお寺。
「瑞泉寺」・「海蔵寺」と並んで「花の寺」として有名で、樹齢200年といわれるカイドウの古木や、200種類に及ぶ多彩なアジサイなど、四季折々の花が境内を彩る。
小さいながらも本堂やお庭に咲く花や草木が美しく、あちらこちらに見所があるんです。
鎌倉にはご存じの通り、数々の紫陽花の名所がありますが、実はこの「光則寺」も隠れた紫陽花スポット!
すぐそばにある、「長谷寺」の紫陽花の散策路に負けず劣らず、紫陽花が美しいらしい。
境内には、約200種類、600鉢の紫陽花が所狭しと並び、その1つ1つの鉢には花の名前や解説が書き込まれているんだとか。
特にヤマアジサイはとても美しく、紫陽花の奥深さを感じることができるんだそう。
私は秋の終わりに訪れたので、残念ながら紫陽花を拝むことはできなかった…。
来年の6月には、雨の雫滴る紫陽花を見に、意外と知られていないこの穴場を訪れてみよう!と心に決めたのでした。
庭園の中腹には、特にゆかりはないけれど、宮沢賢治の「雨ニモマケズ…」の詩碑が。
宮沢賢治が日蓮宗の教えに深く帰依したからだとか。
この詩は、詠むとじんわり心に響きます。
宮沢賢治が詠む、この精神とは、他人に迫害され誹謗されても、他人のための手助けをするというもの。
なかなかなれないなぁ、そんな偉大な人に。
私は日々のほんの些細なできごとでさえ、許せなかったりするのに。
「光則寺」には、境内から石段を上った裏山に、日蓮聖人が佐渡へ流された際に弟子の日朗上人を幽閉した「土牢」もあります。
着く頃には、ちょっぴり息が上がる階段を少しずつ登る。(ゼイゼイ)
おぉ、頂上には開けた静かな広場があり、その名の通り、土を掘って造った「土牢」が。
長年の月日を経て、今も尚そこに佇む「土牢」は、独特の雰囲気を醸し出していて、覗いただけでドキドキ、少し身震いしてしまう。
こんなところに幽閉されていただなんて、想像してみただけで恐ろしや。
真っ暗闇のなか、冷たく硬い土牢に座り、これから己を待ち受ける未来がどんなものなのか。
悶々とひとりで考えるとき、一体どんな心持ちであったのでしょう。
あぁ、今はなんと平和な世の中なことか。
我の悩みなど、陳腐なものに思えてしまいます。
やはりお寺というのは、歴史を感じる不思議な時間と心穏やかに浄化される感覚があって、とても好きです。
自分を見つめ直したいときは、また来よう!
鎌倉には、まだまだ知らない、素敵な神社仏閣がありますからね。
新たに発見していくのが楽しみです。