葉山/中古一戸建/海近「じゃあね」

セカンドハウスとしてこの家を建てたのは確か、30年くらい前のことだったか。

当時は、宮家にも愛される静養地として人気だったこの葉山に憧れていたんだった。

でも、何年経ってもここ葉山の町は素晴らしい。

小高い丘の上から眺める葉山の町とウネウネと連なる緑が美しい山々。

ここは「さわさわ」と爽やかな風が吹き、葉っぱが「サラサラ」こすれあう音だけが響く、とっても穏やかなところ。

今日も空は青くて、清々しくて、気持ちが良かった。

改めて、ここに移住してこようと決めた昨年の春、主人が退職したことがきっかけ。

ありがたいことに子供達も無事に成人して、すっかり自分の道を着実に歩んでくれている。

これから私たちは、ようやく自分たちのことだけを考えて暮らしていける。

ならば、ゆったりとした時間の流れる静かな場所へ、住まいを変えたくなったのだった。

そのうち、孫たちが遊びに来てくれるようになったら、ちょうどいい田舎感が味わえるだろうと思ったからでもある。

駐車スペースは４台分確保されているから、娘家族と息子家族が一度に集合してもなんら問題はなさそう。

大きなお庭も設えてあるので、おそらく子どもたちの格好の遊び場となってくれることでしょう。

お正月にはお庭で餅つき、お盆にはバーベキューに「パッカーん」とスイカ割りしたり。

楽しみが「ぐん」と広がる。

「おばあちゃん、また来てもいい？」

孫娘がにっこりと笑って聞いてくる。

「もちろんだよ、いつでもおいで。」

「やったー！じゃあまた海までおさんぽしたい！」

歩いて7分の「森戸海岸」は孫たちのお気に入り。

「約束だよ」

ゆびきりをして「じゃあね、バイバイ」、手を振る。

また会いにきて。

そうやって毎度私は少し寂しい心持ちで手を振る。

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