「ヒョーーーーロロロロロロロ」

雲ひとつ見つからない、真っ青な空にトンビが一羽。

それはそれは優雅に旋回している。

ふと立ち止まる私を取り囲むかのような力強い緑の山々が連なっていた。

小坪漁港には小さな舟がたくさん並んでいて、漁師のおじさんたちが何やら「ゴソゴソ」と仕事をしている姿があった。

美しいアクアブルーの海は、優しい風に「ゆらゆら」揺れて凪ぐ。

海の向こうには、まるで海外リゾートを彷彿とさせる「逗子マリーナ」が見えた。

オレンジ色の瓦屋根に白亜の壁、周りにはパームツリーがお行儀よく並んで「さわさわ」風に吹かれている。

ここからの景色が好きだった。

小坪漁港に腰をかけて、眺めるこの景色。

日常の全てをなーんにも無くして、頭を空っぽにする。

潮の香りだけが何度も何度も私に話しかけてきては、去ってゆく。

それの繰り返し。

いつの間にか、1日の終わり、ここに来るのが日課になっていたのだ。

そんな暮らしが始まったのは4月のはじめ頃。

湘南に暮らしたいと思い立って、すぐに足を運んだのはちょうど去年の今頃だったか。

初めて訪れた小坪漁港が好きになり、ここから歩いて５分ほどの小さな土地を見つけた。

「ぽかぽか」と暖かい陽の光がたくさん当たる、気持ちの良い場所。

87.10㎡（約26.34坪）とやや小ぶりな土地だけど、それほど大きな家が必要ではない私達夫婦にとってはちょうどよかった。

あれよあれよという間に契約が決まり、瞬く間に小さな３階建ができた。

小さな部屋が３部屋とリビング、カースペースが2台。

それだけで十分。

漁港へはのんびりお散歩に行って、時には帰りに地場のアジフライや新鮮な魚料理に舌鼓を打つ。

休日はマリンスポーツに勤しんだり、たまには山にも登る。

一番手っ取り早く手軽に登れて抜群のロケーションを誇るのが、「披露山公園」。

大崎公園まで山伝に歩いたりするのもかなり楽しい。

住めば都だというが、絶対にここが一番最高の立地だと思う。

（私だけかもしれないけれど。）

でもきっと私達にはぴったりのピースだったんだと思う。

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